【CAによる解説】航空会社の収益の仕組みについて

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CAによる航空会社の収益の仕組み講座

 

みなさんご機嫌いかがですか?

 

もう今年も残すところ2週間を切りましたね!

 

あっという間に1年は終わってしまいます。

 

さて、今日はCAの私が航空会社の収益の仕組みについてさらっと解説しようと思います。

 

 

 

そもそも航空会社ってどのように収益を上げているのか、みなさんなんとなくイメージはあると思いますが、その点について整理してみようと思います。

 

私はCA(客室乗務員)ですが、前社を含めて自社の営業や財務やマーケティング等管理部門の人たちとも大いに交流がありますのでそこらへんについても詳しいんです!

 

 

 

 

航空空会社が売っているもの

 

まずは基本的なことから整理しましょう。

 

航空会社が売っているもの、それは「スペース」です。

 

 

 

そう、スペース=空間

 

 

 

その空間を買えば、人とモノは飛行機に乗って目的地に行くことができます。

 

 

 

そして人とモノという2つの区分けが、旅客貨物という航空会社が扱う2種類のお客様となります。

 

 

 

このように、航空会社のビジネスの基本=核心とは、飛行機のスペースを人とモノの移動のために買ってもらうことです。

 

 

 

航空会社同士での競合・競争

 

当然そこには航空会社同士での競争が生まれます。

 

いかに自分たちの航空会社のスペースをお客様に買っていただくか。

 

 

 

そのためにスペース+αの部分で差別化を図り、航空会社同士の競争が発生します。

 

 

その+αの部分こそがサービスです。

 

 

 

私たちCAはこのサービス部分を担う最前線にいると言えるでしょう。

 

 

 

 

サービスといえばその他には、マイレージプログラムやビジネスクラスラウンジ、そして送迎サービスなどの付帯サービスがあげられます。

 

 

また、サービスの基盤ともいえる、値段についても差別化を図ってお客様を自社へと誘導します。

 

 

 

 

ただし、値段については安くすれば良いというものではありません。

 

 

航空会社の収益の仕組みとして、値段を安くし過ぎると飛行機を飛ばすごとに赤字になってしまい、採算が取れずに倒産してしまいます。

 

 

お客様からの運賃収入と、飛行機を飛ばすためのコストの損益分岐点をしっかりと見極めた値段設定(Revenue Management)が必要になります。

 

 

 

 

航空運賃の設定について

 

その運賃設定については、今では規制緩和で航空各社が設定する「キャリア運賃」が主流になっています。

 

LCCの格安運賃などまさにこれに当たります。

 

一方で、世界のほとんどの航空会社が加盟するIATA(国際航空運送協会)のルールにのっとった、IATA運賃というものがあります。

 

IATA運賃は正規運賃とも言われているもので、運航区間・クラスによってどこの航空会社でも共通の運賃設定となります。

 

 

 

一昔前までは、航空運賃といえばこのIATA運賃しかありませんでした。

 

ですので、当時は値段による差別化ができない分マイレージやサービスの手厚さに重点を置いた競争が展開されていたんです。

 

ちなみに、マイレージによる無料航空券の乱発で倒産したのが、パン・アメリカン航空(パンナム)です。

 

 

 

飛行機の座席やスペースの売り方

 

それでは、航空会社の売り物であるスペース(座席または貨物搭載スペース)をどのように売るのでしょうか。

 

大きくわけて3つのルートが考えられます。

 

  1. 旅行代理店・貨物代理店経由での販売
  2. インターネットからの直販
  3. 企業契約による直販

 

旅客であればパッケージツアーなどの場合は@が主流です。

 

貨物であれば通関免許の関係から@がほぼ100%です。

 

Aは旅客についてですが、個人のお客様がネット経由で直接航空会社のサイトで予約されるケースで、最近はこれが主流になりつつまります。

 

 

 

 

Bについては、会社単位で業務出張が多い企業様と航空会社が直接契約を結んでご利用いただくパターンです。

 

 

 

 

このように、旅客の場合には3つの販売ルートに分かれるのですが、最近はAとBのパターンが増えています。

 

裏を返せば、直販がものすごく増えているので、その点旅行代理店は面白くないわけですよね。

 

 

 

しかし航空会社としては、代理店を通すことによるコストを削減して収益構造をスリム化したいという意図があるんです。

 

また、販売の主導権を旅行代理店に握られていては売り上げの拡大には限界があるので、その要因を排除したいという意図もあるんです。

 

 

旅行代理店を通すことによるコストとは、例えばこのようなものです。

 

旅行代理店が一定期間に一定額以上売り上げた場合には航空会社からインセンティブを支払ったり、最近は無くなりましたが航空券を1枚発見するごとのコミッションを支払ったりといったものです。

 

逐一何かととコストがかかる仕組みなのです。

 

ただし、旅行代理店の流通網は、日本の場合極めて大きいので旅行代理店を排除することは不可能です。

 

このように、旅客については航空会社と旅行代理店の軋轢という大きな課題があることを覚えておいてください。

 

 

まあ、ざっとですが、このような仕組みが航空会社のビジネスの仕組みの基本なんです。

 

スペースを売る。

 

これが基本です。

 

もっと詳しいことはまた別の機会にお届けしようと思います。

 

みなさまのご参考になれば幸いです!

 

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