CAと添乗員の関係について
CAと旅行会社の添乗員との関係とは?
みなんさんお元気ですか?
センター試験も終わって次は入試本番という学生のお客様も増えてきますよね。
さて、今日のテーマはCAと添乗員の方との関係についてです。
旅行会社の添乗員の方はある意味飛行機のヘビーユーザーです。
よくフライトでお会いする方もけっこういらっしゃいます。
旅のプロである添乗員さんとCAの関係、一体どのようなものなのでしょうか?
添乗員のお仕事
子供のころ修学旅行や遠足などで添乗員さんのお世話になった方も多いでしょう。
ですので、添乗員さんの業務のイメージはみなさんお持ちかと思います。
特に国際線の機内でお見掛けする添乗員さんは、団体旅行のツアーパッケージのお客様の添乗で世界各国を飛び回っておられます。
正直とても大変なお仕事です。
2週間ならその丸々全ての時間お客様に付きっ切りです。
しかも、何かトラブルが起きればその解決のため現地で奔走しなければなりません!
更に更に!交渉相手は外国人なので日本の常識は通用しませんしね・・。
おまけに、ツアー参加者のお客様がみんな聞き分けの良い方とは限りません。
私たちCAは最長でも12時間くらいのフライトです。
到着しさえすれば、あとのことは地上職員に引き継ぐということでリセットできますが、添乗員さんはそうもいきません。
想像しただけでもその大変さに鳥肌が立ってしまいます・・。
航空会社と旅行会社の関係性
そんな添乗員さんも、航空会社にとっては大切なお客様です。
しかも頻繁にご利用いただくお得意様です。
ですが一方で、セールスマーケティングの観点からは少し事情が異なって来るんです。
以前こちらでご説明したように、日本での飛行機チケット(座席)の販売の仕組みは旅行代理店経由が主流です。
航空会社は座席という在庫を旅行会社に卸売りして、旅行会社がさばき切れなかった在庫は航空会社に無償で返品されるんです。
もちろんフライト当日に返品されても再販できないので、無償返品は遅くとも出発の10日前などある程度のしばりがあります。
しかし、たとえ10日前など制約が有っても大量に返品されたら航空会社としても再販が難しいので困るわけです。
また、各旅行会社の販売実績額に応じて、航空会社は半期に一度くらいのペースでインセンティブも支払っています。
それくらいのコストを払って航空会社は旅行会社に在庫を卸しているので、完全なるお客様というよりは、信頼関係に基づいたビジネスパートナーといった存在でもあるんです。
添乗員は半分プロで半分素人
当たり前ですが旅行会社の添乗員さんは旅行のプロ中のプロです。
一方で私たちCAは航空運輸業のプロです。(ですよね?現役のみなさん!)
そして、旅行業については素人です。
というように、実はこの旅行業と航空運輸業、実は似て非なるものなのです。
当たり前ですが、旅行業にとってエアラインは商品全体の中の一部です。
ですので、商品全体の品質を維持するために旅行会社の航空会社に対する要求はエアラインの常識を逸脱することが多いんです。
つまり、「無理なお願い」のオンパレードです。
その数々の「無理なお願い」ってやつですが、我々航空運輸業のプロからすれば耳を疑うものも多いんです。
CAが機内で遭遇する添乗員あるあるケース
オーバーブッキングのフライトでの座席の変更なんて日常茶飯事ですし、遅延や欠航やロストバゲージなどイレギュラー時の添乗員さんからのクレームなんてすさまじいものがありますね。
私が驚いた添乗員さんからの要求の例を挙げますと、
- 「足の悪いお客様が居るので非常口前の足元が広い席が欲しい」
- 「乗り継ぎ時間が短いから到着ゲートから専用のバスを用意してほしい」
というケースです。
非常口前の席は緊急脱出の際にお手伝いが出来て心身ともに健康かつ英語でのコミュニケーションに支障がいない方しかご利用できませんので、もちろん丁重にお断りしました。
また、到着時のバス手配についてもMCT(法定乗り継ぎ時間)を満たしており、その便は遅延もしておらずむしろ定刻より20分早い到着予定だったのでこれも丁重にお断りしました。
しかし!その時の添乗員さんは食い下がる食い下がる(笑)。
この2つについては、事前に航空会社から広く皆様に周知させていただいていることなのですがねえ・・。
最終的にその添乗員さんは、「あなた名刺出しなさいよ!」とキレていらっしゃいました。
それについても、あいにく私の会社では客室乗務員に名刺は無いのと、個人名も本国の法令に従ってプライバシー保護の観点から非公開となっているので丁重にお断りしたこともありました。
素敵な添乗員さん
もちろんそんな方だけではなくて、素敵な添乗員さんも多くいらっしゃいます。
私がよく機内でお会いする顔見知りの添乗員さんが何人かいらっしゃるのですが、その方たちはとても魅力的なプロフェッショナルなんです。
航空会社の安全ルールなどについてもとてもよく勉強していらっしゃいますので、無理なお願いなんて一切ありません。
また、旅行業のことを心から愛していらっしゃるので、とても明るく楽しそうに働いているのです。
こちらの添乗員さんたちとは現地の耳より情報を交換したり、ちょっとしたトラブル時に協力し合ったり、とても良い関係です。
お互いに立場を尊重しつつ、困ったときには極力助け合いたいという信頼関係を築いていますので、とても清々しい気持ちで居られるのです。
やはり、自分の仕事に誇りを持ちつつエアラインの立場も尊重しているからこそ、こうした素敵な添乗員さんになれるんだなと思います。
私もその逆パターンを心がけてCA業にまい進していますが、私の同僚CAの中にも残念な人が居ます・・。
互いに仕事に誇りを持って、相手のことを素直に尊敬できればそんな態度に出ることは無いのになと思います。
旅行会社と航空会社、良い関係の中で共存共栄してゆきたいですね!