CA(客室乗務員)が見た航空会社ひきこもごも【会社模様】

CA(客室乗務員)が見た航空会社ひきこもごも【会社模様】
みなさんお元気ですか?
さて、今日はCA(客室乗務員)である私が見た、航空会社のひきこもごもな会社模様についてお届けします。
当然CAも航空会社の社員のひとりです。
この航空会社には実に色々な職種があるのはご存知の通りです。
CAもそうですし、パイロットや整備士やGS(グランドスタッフ)といった現場の人たち、そして経営首脳陣をはじめ人事や財務、そして今日ご紹介する営業などのオフィスで働く人たちで構成されています。
それぞれの職場にはそれぞれ特徴的な習慣だったり出来事が日々起こるわけです。
その中でも今日は、私の大学時代からの同級生であり、同じく同業他社のとある航空会社の総合職として就職したY実のことについてお送りします。
ある航空会社の総合職になった大学同期のY美のこと
Y美は私と同じ大学の同学年で経済学部に在籍していました。
サークルが一緒だったのでキャンパスではしょっちゅう二人でお茶をしたりランチをしたりしていました。
やがで就活の時期になり、私は念願のCA(客室乗務員)に、そしてY美は違う航空会社の総合職として内定しました。
Y美は業界を問わずにインフラ系の総合職を希望していたので、私のようにどうしても航空会社・CAというタイプではありませんでした。
彼女はものすごく賢い人なので、航空運輸業という公共性の高いビジネス形態に魅力を感じて最終的に入社したというタイプです。
ちなみに、Y美がどこの航空会社に入社したかはもちろんナイショです!
ただ、外資系とだけ言っておきましょう。
Y美の担当した航空会社の営業職とは?
そして入社後、Y実は営業部に配属されました。
航空会社の営業と言うと、イマイチイメージが湧かない方も多いと思います。
簡単に言うと、こちらで以前お伝えしたように、旅客なら座席を販売すること、貨物なら搭載スペースを販売することです。
Y美は旅客の営業に配属されたので、座席=航空券を売るために旅行代理店などを回って営業をするという業務です。
航空運賃は公示運賃(正規割引を含む)とキャリア運賃(その航空会社独自の運賃)となっています。そのキャリア運賃については、各航空社とも差別化を図るために様々な種類のものを展開して販売しています。
そのような運賃は半年ごとの上期と下期でTariff(タリフ・運賃表)として各旅行代理店などに卸されます。
そのTariffに記載された料金に従って旅行会社はツアーを組んだり個人旅行チケットとしてお客様に販売するという基本的な仕組みです。
営業職の宿命とは?
そんな航空会社の営業職であるY美ですが、タリフを出して終わりという簡単な仕事ではありません。
それこそ営業職の宿命なのですが、毎日のように旅行代理店から「無理なお願い」が沢山舞い込みます。
つまり、料金的な相談ということです。
「あと1万円何とか下がりませんかね・・?」とか、「グループだからもう一声くださいよ!」など、旅行代理店としては一円でも自分たちの儲けを多くしたいので必死です。
どんな業界でもビジネスというものはこうしたネゴシエーション(交渉)のことを指すのですが、Y美の会社の場合少し事情が異なりました。
「Tariffは絶対!」
「料金交渉の余地無し!」
という何とも淡泊な、営業なんて居なくてもいいんじゃないの?という会社の方針だったのです・・。
Y美はかなり頭がキレるので、その矛盾には瞬時に気づき上司にもすぐさま指摘したのです。
すると・・・。
Y美を襲った数々の災難
料金について一切の交渉の余地が無く、他に代替できる営業ソースがボーナスマイル少々ではとても他社には勝てない。
同業他社は柔軟かつ丁寧に対応しているので負けてしまう。
Y美は直属の日本人の上司にそう指摘したそうです。
するとその日本人上司という男はこう言ったそうです。
「冗談じゃない!勝手に料金をいじるなんてこれは背任行為だ!懲戒解雇だ!」
・・私は他社のCAですがその話を聞いて物凄く腹が立ちました。
Y美が言っていることの方が100%合理性がありますし、会社の方針を尊重するにしてもその日本人上司とか言う男はその上に掛け合いもせずにその場で拒否とは何て無能なんでしょう・・。
それじゃ営業の居る意味が無いと、その時Y美は途方に暮れたそうです・・。
Y美が知った愚かな実態
当然Y美以外にも同僚(先輩)が10人ほど居たわけですが、Y美がそのことを相談しても皆お茶を濁すばかりだったそうです・・。
「まあ、頑張るしかないよ・・。」とか、「接待とかで取るしかないね・・。」など殆ど解決にならない答えしか返ってきませんでした。
しかしその上司という男は売り上げをもっと上げろとだけ言ってくるわけです。
その度にY美は、どんなに接待を頑張っても料金交渉についてもう少し柔軟に対応しないと根本的な解決にならないと言ったのです。
するとY美は段々とその男の目の敵にされはじめ、様々なハラスメントを受けるようになってしまったのです・・。
どうして自分だけがターゲットになるのか、他の先輩たちも同じ境遇のはずなのにこれはおかしい、そう思ったY美は密かに調査することにしました。
すると、とんでもない事実が明らかになったのです!
何と、先輩たちは料金を裏で勝手に操作していたのです。
詳しいことは言えませんが、「これは懲戒解雇どころか違法じゃないの?」ということが裏では横行していたそうなんです・・。
つまり、その上司という男はそれを暗に部下たちに強要していたということなんです。
「俺のためにおまえらは危ない橋を渡れ!」
「ただし俺は責任は取らん!」
という実態だったのです・・。
責任を負うことと背負わせるということの違い
仕事をするということ、それは責任を負うということです。
それはどんな職種でも同じことです。
しかしこのY美の場合は、いわれのない責任を背負わされているということだったのです。
このような不正ありきの体質にY美はとうとう嫌気がさしてしまいました。
Y美は内部告発も考えましたが、そのような労力を費やすことも馬鹿らしいと思い、結局その会社は退職しました。
不正ありきで運営されている組織なんてあまりにも足元がおぼつかないですし、デタラメでしかありません。
しかも上司の手柄のためにおまえの命を差し出せという滅茶苦茶な論理、本当に外資系なのかと思うほどの愚鈍な慣習、それは嫌気がさしますよね・・。
まさにブラック企業だった、それがあの優秀なY美に降りかかった最大の災難だったのです・・。
子供じみたことは日常で多く起こる
実はこういうバカげたことって、けっこう社会では頻発するんです。
こちらで書いたように、世の中の真実とは光と影、他人の常識は自分の非常識でありその逆もまた然りなんです。
とは言え、ここまで粗末な会社としての運営実態を知ってしまうと、そこに自分の人生を委ねて良いものだろうか、もう少しマシな生き方ができないものだろうかと、多少知恵がある人なら考えるわけです。
それがY美だったわけです。
ちなみにY美はその後、バイトをしながら2年ほど猛勉強して見事公認会計士に合格!
現在は大手会計事務所で公認会計士としてバリバリと働きながら、同業のご主人と結婚して幸せな人生を送っています。
あのような不正経理や不透明な金の流れが横行していた組織に居たY美が公認会計士とは、これも何かのご縁だったのでしょうかね(笑)!